日本のヘルスケアテック企業が提供する企業向け健康管理アプリに、SmartHRとのAPI連携機能を構築した事例です。OAuth 2.0認証、Webhook、定期バッチ処理を組み合わせて従業員情報を自動で同期し、人事担当者による二重入力をなくしました。連携機能はSmartHR Plusに掲載され、すでに本番環境で稼働しています。

プロジェクト概要

SmartHRは、80,000社以上の企業に導入されている、日本を代表する人事・労務クラウドサービスの一つです。多くの企業にとってSmartHRは、人事・労務ツールという枠を超え、従業員情報を一元管理する信頼性の高い情報基盤としての役割も担っています。

本事例では、SupremeTechが日本のヘルスケアテック企業を支援し、SmartHRと企業向け健康管理アプリの連携機能を構築しました。この健康管理アプリは、人事担当者が健康施策を運用し、従業員の健康情報を一元管理できるようにすることで、企業の健康経営を支援するサービスです。

SmartHR連携健康管理アプリのプロジェクト概要イメージ

クライアントの顧客企業の多くは、すでにSmartHRで従業員情報を管理していました。しかし、SmartHRと健康管理アプリが連携していなかったため、人事情報に変更が生じるたびに、両方のシステムへ同じ内容を手作業で入力する必要がありました。

本プロジェクトの目的は、この二重入力をなくすことでした。SmartHRから従業員情報を自動で同期する仕組みを構築し、人事担当者が常に最新の情報をもとに従業員の健康管理を行える環境を整えました。これは、人事業務のデジタル化を支える基盤づくりにもつながっています。

この仕組みは、SmartHRを利用している他の企業にも応用可能です。健康管理、従業員管理、従業員満足度の向上、社内管理など、SmartHR上の従業員情報を社内システムと連携したい企業に対して、SupremeTechは連携方式の設計から開発までを一貫して支援します。

課題

企業向け健康管理アプリにおいて、正確な従業員情報はさまざまな業務の土台となります。健康施策の管理、利用者権限の設定、法人向け管理画面の運用、入社時の対応など、いずれも信頼できる従業員情報があってこそ成り立つ業務です。

従業員データの連携状況を確認する担当者(導入前の課題イメージ)

本プロジェクトでは、SmartHRが従業員情報を管理する中心的なシステムとして利用される一方、健康管理アプリ側にも独自の利用者管理機能や管理画面が存在していました。そのため、SmartHR上で従業員情報が変更されるたびに、健康管理アプリ側にも同じ内容を手作業で反映する必要がありました。

クライアントが抱えていた実務上の課題は、主に次の5点です。

  • 従業員情報の重複管理 — 人事担当者が同じ従業員情報を複数のシステムで管理しなければならない。
  • 情報反映の遅れ — 新入社員の登録、情報変更、利用停止などが、健康管理アプリ側に即座に反映されない可能性がある。
  • システム間の情報の不一致 — システムごとに異なる従業員情報が表示されると、どちらを正として扱うべきか管理者が判断しづらい。
  • 法人管理者の作業負担 — 日常的な情報確認や更新に時間を取られ、本来注力すべき健康管理業務に十分な時間を割けない。
  • 手作業運用の限界 — 健康管理アプリの導入企業が増えるほど、手作業による情報同期の維持が困難になる。

これらの課題を解決するには、SmartHRから情報を取得するだけでは不十分でした。健康管理アプリをSmartHRの仕組みと連携させ、その接続を通じて従業員の基本情報を継続的に同期できる一連の仕組みが必要でした。

ソリューション

SupremeTechは、クライアントの企業向け健康管理アプリに、SmartHRとの連携機能を構築しました。

本プロジェクトで取り組んだのは、大きく2点です。1つは、クライアントのアプリをSmartHR Plus上で利用できるようにすること。もう1つは、SmartHRから社内システムへ従業員情報を同期する仕組みを構築することです。

SmartHRとの連携では、従業員情報を取得するだけでは十分ではありません。まず外部アプリケーションをSmartHRの仕組みに正しく接続し、そのうえで安全かつ安定した方法で従業員情報を同期できる環境を整える必要があります。これは、SmartHRとの連携を検討している他の企業にとっても共通して重要なポイントです。

SmartHR連携の対応範囲

SupremeTechは、SmartHR Plusへの申請支援から認証の実装、データ連携、公開準備まで、SmartHR連携に必要な一連の対応を担いました。主な対応内容は以下のとおりです。

  • クライアントアプリケーションのSmartHR Plus申請支援
  • SmartHRログインを起点とした接続フローの構築
  • SmartHR OAuth 2.0を利用した認証機能の実装
  • SmartHRから送信されるWebhook通知の受信・更新処理
  • データの整合性を確認するための定期バッチ処理
  • 従業員情報と社内データベース項目のマッピング・データ変換
  • SmartHR Plus公開に向けたテストおよび申請手続きの支援

これにより、法人ユーザーはSmartHR側で連携設定を行うだけで、従業員情報を継続的に同期できるようになりました。申請から開発、テストまでをSupremeTechが一貫して支援したことで、クライアントは複数の作業や関係者との調整を個別に進める負担なく、SmartHR連携を実現できました。

この連携は、次の4つの技術要素を軸に設計しています。

技術連携の設計

SmartHR OAuth 2.0による安全な認証

SmartHR OAuth 2.0を用いて、SmartHRと健康管理アプリの間に安全な接続を構築しました。これにより、保護されたアクセストークンを通じて安全にデータをやり取りできます。

Webhookによるリアルタイム更新

SmartHR上で従業員の新規登録、プロフィール更新、利用停止などが発生すると、Webhookイベントを通じて健康管理アプリ側に即座に通知されます。これにより、変更内容を遅延なく反映できます。

定期バッチによるデータ照合

データの整合性を長期的に保つため、SmartHR Crew Export APIを利用した定期バッチ処理も実装しました。Webhookイベントに遅延や欠落、一時的な通信断が生じた場合でも、従業員の基本情報を照合し、両システム間のデータ整合性を確保できます。

SmartHRを基準としたデータ連携

全体のデータ連携は、Webhookイベントとエクスポートによる定期同期を組み合わせて設計しています。従業員情報は健康管理アプリのデータベースや管理画面の処理に反映され、SmartHRを従業員情報のマスターとして維持しながら、健康管理アプリ側でも常に最新の人事情報と整合した状態を保てます。

この仕組みは他の社内システムにも応用可能です。すでにSmartHRで従業員情報を管理している企業であれば、SupremeTechは正確な従業員情報を必要とする社内システムとの連携も支援できます。

導入効果

SmartHRとの連携機能はすでに本番環境で稼働しており、クライアントと健康管理アプリ利用企業の双方に、さまざまな効果をもたらしています。

クライアント側の成果

  • 新規法人顧客との契約時、従業員一覧を初日から健康管理アプリ上で利用できるようになり、手作業による初期設定が不要になりました。
  • クライアントの事業拡大に合わせて、連携の仕組みをそのまま拡張できるようになりました。
  • SmartHR Plusに掲載されたことで、SmartHR利用企業が健康管理アプリを見つけやすくなり、すでにSmartHRを利用している見込み顧客への導入説明も簡潔に行えるようになりました。

健康管理アプリを利用する人事担当者側の効果

  • 従業員情報が両システム間で自動的に同期され、手作業による再入力が不要になりました。
  • 入社、部署異動、退職などの変更内容も、健康管理アプリ側に適切に反映されます。
  • 従業員情報を正確かつ一貫した状態で管理できるようになり、健康施策に関するデータの信頼性も向上しました。
  • 結果として、人事担当者は管理作業にかける時間を削減し、より重要な健康管理業務に集中できるようになりました。

また、SupremeTechはSmartHRチームと直接連携し、検証環境でのテスト、SmartHR APIの仕様確認、SmartHR Plusへの申請手続き全般を支援しました。異なる2つのサービス間で調整を進めるには、時間と丁寧なコミュニケーションが欠かせません。SupremeTechがその対応を担うことで、クライアントは本来のサービス開発に集中できる環境が整いました。

この事例から得られた学び

本プロジェクトを通じて分かったのは、SmartHR連携は単にAPIをつなぐだけでは不十分だということです。重要なのは、従業員情報が実際の業務でどのように使われているかを理解し、その業務フローに即した連携方式を設計することでした。

更新内容を即座に反映したい場合はWebhookが有効ですが、長期的なデータ整合性を保つためには定期バッチ同期も欠かせません。この2つを組み合わせることで、更新の速さとデータの信頼性を両立した連携の仕組みを実現できました。

また、SmartHR Plusへの申請やテストを進めるうえでは、SmartHR側との丁寧なすり合わせも重要な要素でした。技術的な実装だけでなく、外部サービス上でアプリケーションを適切に提供するための調整も、プロジェクトを成功させるうえで欠かせないポイントでした。

今後の展望

SmartHRとの連携により、この健康管理アプリは今後のサービス拡充に向けた、より強固なデータ基盤を手に入れました。SmartHRから従業員情報を安定して取得できるようになったことで、クライアントは企業向けサービスのさらなる拡大に向けて、継続的な機能改善を進められるようになっています。

クライアントは現在、日本全国で事業を拡大しており、今後は次のような取り組みを予定しています。

  • 日本全国のより多くの企業・自治体への展開
  • 人事担当者向けの、より高度な分析機能や組織の健康状態に関するレポート機能
  • 従業員の心身の健康に関するAI活用機能

SupremeTechは長期的な開発パートナーとして、引き続きクライアントを支援します。新機能の開発、健康管理アプリの安定運用、そして今後必要となる改善の検討まで、クライアントとともに取り組んでいきます。

技術スタック

  • バックエンド:PHP
  • モバイル:iOS、Android
  • データベース:MySQL
  • インフラ:AWS、GCP
  • 認証:SmartHR OAuth 2.0
  • データ更新:SmartHR Webhook Subscriptions
健康管理ダッシュボードを囲んで打ち合わせをするチーム

まとめ

SmartHRを利用しており、従業員情報を他の社内システムと連携したいとお考えの企業にとって、本事例が参考になれば幸いです。SupremeTechは、安全性と実用性を兼ね備え、将来の拡張にも対応できるSmartHR連携の設計・開発を支援します。

SmartHR連携をご検討の際は、ぜひSupremeTechまでお気軽にお問い合わせください。SmartHR連携であっても、まったく新しいシステム構築であっても、私たちは長期的なパートナーとして貴社の成長に寄り添います。